一歩踏み出す瞬間 RYUTist『黄昏のダイアリー』について

2018-12-30

2018年11月20日に発売されたRYUTist『黄昏のダイアリー』についてのいくつか。

 

『黄昏のダイアリー』は日本の新潟県を拠点として活躍するアイドルグループRYUTistの6枚目のシングルで、『黄昏のダイアリー』『心配性』『a birthday song』の3曲が収められている。その中で今回は表題曲『黄昏のダイアリー』について述べたいと思う。

 

RYUTistは2011年5人組で始動したが紆余曲折を経て現在は佐藤乃々子(22)宇野友恵(19)五十嵐夢羽(17)横山実郁(16)の4人組。(2018-11-20時点)

アイドルブームで誕生したアイドルグループのひとつだが新潟拠点というハンデを逆手に取り、新潟から極力出ない活動をしてきた。しかし楽曲とステージのレベルの高さ、豊富な動画配信と多くの謎のイベントで地方を拠点としながらも耳の早いファンへは知れ渡っていた。しかし、地方ゆえに東京のファンにとってはUMA的なアイドルであり、俗に言う隠れファンの多いグループ。

そんな幻の生物のはなし。

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メンバーの五十嵐夢羽は高校3年生。

11月。高校3年生にとってはなんだかふわふわした季節だ。受験を目指すならば模試に一喜一憂したり、専門学校を本格的に決めたり、就職もあそこでもないここでもないと、いわゆる階段の踊り場のような宙ぶらりんな季節。

誰しもが不安になる。なにかを決断する前の不安。

 

『黄昏のダイアリー』は狭間の歌だと思っていて、

夏と冬の間

昼と夜の間

17才と18才の間

大人と子供の間

新潟と東京の間

 の狭間

♪背中合わせの君へ 黄昏のダイアリー

 

小さい頃って夢がいっぱいあって。サッカーせんしゅになりたい!とかおいしゃさんになりたい!とかケーキ屋さんになりたい!とかプリキュアになりたい!とか

夢がたくさんあって。可能性も無限にあって。

でも成長するにつれて、ああ運動は向いてないなとか、パイロットにはなれそうもないなとか、ヒーローにはなれないんだとか、現実を知り選択肢が減っていくのが成長するっていうことでもあって。

 

それってもしかしたら、あの日オーディションを受けなかったら。

もしかして別の自分が居たんじゃないか。

もっと別の可能性があったんじゃないか。

自分はここではないどこかへ行けたんじゃないか。って

無限の可能性があったのに、わざわざアイドルなんていう辛くて苦しい道を選んで。

今の私の進んでいる道は果たして合っているのだろうか?

あれ?私いま何してるんだろう?

 

 

 今の五十嵐夢羽は合っているよって

本当に今の道を選んでくれてありがとうって

言いたいからずっとファンをやってきたっていう所もあって。

「ファンの皆さんの応援でやってこれました」なんて言ってくれるけど、もし本当にそうだとしたらこの道は数多くあった可能性の中のベストに近い。そう思える。

 これは余談。

 

 

人はいつでもここではないどこかへ逃避したいと思っているけれど、今を認め肯定して

いくつもあった可能性に別れを告げる黄昏時の年齢。

そこに居て、迷っている人が、一歩を踏み出す瞬間。

 

何かが動き出す瞬間。意志。

黄昏時の夕陽。とても美しい。

 

あったかも知れないもうひとりの自分にさよならを告げて、少し寂しいけれど、

私は一歩踏み出すよ。

 

それはきっと今。今歌うのにふさわしい曲で。今しか歌えない曲だと思うし、この曲を作ってくれてありがとうと心から思う。

 

♪白い月は笑う 指差した金星

 

金星ってすごく明るくてどんな夜空でも、光っていて見つける事ができる。だから逆に言えば金星はずっと見守っていてくれてもいて。もしかしたらあったかも知れないもうひとりの自分も。

 

♪同じ歩幅 違う未来

いつか進んでも 背中合わせの君へ

 

 

 

っていう曲なのかなと。

 

ぜひ生でLIVEを見てこの曲を聴いて欲しい。

五十嵐夢羽という人は本当に優しく綺麗な歌声を持っていて、これまでも決めのパートをその美声を活かして歌う事が多かった。

それが今回は落ちサビのところで非常に力強く大いなる決意を持った歌声を響かせてくれる。それがどうしても聴く者の琴線に触れる。その情熱は非常に感動的だ。

 

ちなみに、MVを観ていると五十嵐夢羽のいない3人のカットが多い。つまりこのMVは主人公=五十嵐夢羽の暗示とも言える。※3人に見えても実は見切れて4人いるのでこの説は強引です…

 

奇しくももっと分かりやすく、ポップな曲が同時期に出た。

 

乃木坂46『帰り道は遠周りしたくなる』

 

11月というこの時期はそういう時期なのかも知れない。この曲を聴くと非常に分かりやすく私の言いたい上記のことを簡潔に述べていて、まるで『黄昏のダイアリー』と姉妹曲のように感じる。

これを見ればこのエントリを読む必要はありません←

 

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これから決断した人たちが黄昏を通って大人へ向かって進んでいくのでみなさんもよろしくお願いします。