装うということ RYUTist『素敵にあこがれて』について
RYUTist 7thシングル『センシティブサイン』4/23に発売されしばらく経ちました。
聴いて考えていたことがあったのですが、書きそびれていたので書いておきます。
http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/21372
表題曲『センシティブサイン』は以前の曲調からすると新たな方向性の曲で、『神話』や『Blue』、『黄昏のダイアリー』などRYUTistのシリアスな曲調が好きな層からするとあれっ?違和感がありました。でもこれはあえて球種を変えることで広がりを持たせるため。つまり新たな客層を取り込みたいんだと思いました。
そしてこのシングルリリースのツアーRYUTist presents 「 HI, HOW ARE YOU」
これは”東京への”こんにちはを意味しています。「わたし達これから東京へいくからよろしくお願いします。」という各方面への挨拶。
それはメンバーの年齢が関係しています。23才、20才、18才、17才。学生を卒業して本格的に給与を稼がなくてはいけない。新潟では真面目かつノンスキャンダルなタレント性からお硬いCMや広告にそれなりに起用されていますが、その次のステップとして東京へ行かなければいけません。新潟の県民性からして、新潟で稼ぐためには東京での活躍が必要です。
そんな事情で今年から本格的東京進出をするという予告をこの段階からスタートしたのだと思います。
MVもプロっぽい(一線の他のアイドルっぽい)作りになりました。
『センシティブサイン』について
”一歩先行くあなた 先で待ってて” という全体のメッセージが
逆に、一歩先へ行くRYUTistに着いてきてね、と新潟のファンからすると聴こえます。
個人的には2曲目の『素敵にあこがれて』が好きです。
かなり作り込まれたメロディーにダンサブルなビートのノリやすい曲というのと、
この『素敵にあこがれて』が東京へ行くという事への憧れや恐れを歌っている様に感じるからです。
大人に憧れる女の子の心情が歌われていますが
お料理出来なきゃダメかな?
お掃除出来なきゃダメかな?
~~しなくてはいけない、という一般論に影響されていく様は、東京に行ったら東京人らしくしなきゃという自分を装い仮面を被って田舎者の自分を隠す染まる、というこれからぶち当たるであろう壁を歌っていると思います。ありのままの子供じゃいられない大人を強いられるという状況は社会にでたら誰しもが直面することで、RYUTistも対応しなければいけない年齢という事なのでしょう。
そして3曲目の『バ・バ・バカンス!』は人魚姫の物語。トロピカルのとびきり明るいメロディーに乗せて、王子様に憧れて出ていったけど夢破れて、あの華やかだった頃を思い出している。
底抜けに明るいメロディーが切なさを一層に増します。『勝手にシンドバッド』にも近い普遍性と、これからの子たちに歌わせるというアイドル楽曲特有のブラックジョークと快楽を感じます。
この3曲が入った今シングルについては楽曲から全く新潟感を感じません。新潟感って何?って言われても言葉にはし辛いそれこそセンシティブなものなのですが、このシングルを制作する上で新潟はまったく意識しなかったのではないかと個人的には感じます。
新潟へ帰ってくるために東京へ舵を切ったという意思は感じます。
先日の8周年記念ライブ新潟編で最初のライブから必ず最後に歌ってきた曲である『ラリリレル』を最後に固定しない(歌わない事もある)と発表されました。
ありがとね ほんとにね
泣きそうだった 楽しくて
またあおね つぎの日曜日 きっとここで過ごそね
これからの東京での短いLIVEやアピールしたいLIVEでのセットリストでは1曲絶対に固定というのはやり辛いという事だそうです。*1
縛りがらしさ(特徴)を生むとは思いますが、もう『ラリリレル』無しでも十分特徴は出せるでしょう。8年経っても色褪せない名曲ですがここでお別れです。
(個人的には横山実郁さんにはもっともっと才能を発揮して欲しい。現状ではまだ才能が眠っているので期待はしていますが、期待したままもう7年くらい経つので早く開花して欲しい、、、。)
*1:(ちなみに私は曲数を聴かせたいからとずっとショートバージョンしか歌わない最近の姿勢に理解はしますが、かといってフルバージョンを披露してくれる機会がないので腹が立ちます。いい曲なんだからフルで聴かせろ!)